隙間面積の割合が少ない高気密な住宅が必要な理由
①省エネルギー
②断熱性能の低下を防ぎ快適な室温を保つ
③壁の中に湿気が入るのを防ぐ、安定した室内の湿度管理
④換気を効率よく行って、嫌な臭いが残るのを防ぐ
⑤室内の上下温度差の解消
⑥外気汚染物質の侵入防止(フィルターが必要)
⑦床の底冷えを防ぐ(床下の断熱、機密により)
⑧測定することにより結果、施工精度の確認ができる
断熱材施工時は、確認しない限り先に工事は、進めてはいけません。
構造物の「取り合い部分」が抜け穴になっています。
外国では、規則でそうなっています。
注:日本の住宅業界は、隠せば終わりという発想が定着しています。
水蒸気は0.0004μmという微小粒子なので、木や石膏ボードなどのほとんどの建材を
通り抜けてしまいます。
そのため、室内の湿気が断熱材の内部に侵入し、水蒸気を含むことができる限界の温度
下回った場所(つまり温度の低い、目に見えない場所)で結露が発生します。
この現象を「内部結露」と呼びます。
内部結露は、構造材を腐食させ、カビの発生で部屋がカビ臭くなります。
ガスや石油を使うと蒸気が発生します。
◆気密性外国の基準
カナダR2000では0.9 c㎡/㎡、スウェーデン基準では0.6~0.7c㎡/㎡以下
気密性に国の基準が無い理由とその弊害
日本には国の基準としてC値基準がありません。
平成14年までは寒冷地でC値2.0c㎡/㎡、その他地域ではC値5.0 c㎡/㎡という基準値が
存在しました。ところが、「施工前に確認できない」「施工後に検査に手間とコスト
がかかる」などの理由から※平成21年4月撤廃されました。
今では、ハウスメーカーですら、気密の重要性を理解している技術者は少数派になって
しまいました。
気密性は「気密測定」という検査方法が確立されているため、検査で実測することが
出来ます。
★実際の性能を確認できる項目は気密性ぐらいです。
断熱性能は熱損失計算していても、実際にその断熱性能が出ているかを確認する方法は
確立されていませんし、測定を行うこともありません。
耐震性能も、計算上の性能であり、実際にその耐震性能が担保されているかは、実際に
地震が来てみないとわかりません。
断熱や耐震性能は計算上の数値だけで話が終わるので、施工精度を問われにくい性能値
であるともいえます。
しかし、気密性だけは、設計時に仕様や計算で求めるものではなく、必ず実測しなければ
数値が得られません。
もし、C値0.5c㎡/㎡以下と仕様書に明記があるにもかかわらず、測定してみたら
C値が2.0c㎡/㎡と
オーバーしてしまった場合、工事のやり直しが必要になってしまいます。
後で手直ししないためにも、気密性は丁寧な施工と高い施工技術が必要となる性能値
なのです。
つまり、手間とコストの塊が気密性です。
現場ごとに検査するために、手抜きや誤魔化しが効きません。
気密化の向上に前向きでないのは、プレハブ系住宅を手掛ける大手ハウスメーカーや、
パワービルダーと呼ばれる建売系、ローコスト系、そしてデザイン系の住宅を手掛ける
ハウスメーカーが多いです。
着工棟数の大きなハウスメーカーやローコスト住宅系の共通の課題は、現場管理者の
技術不足、そして職人の技術不足です。
ローコスト系はそもそも単価が低いため腕のある職人を使用することが出来ません。
そして、ハウスメーカーはそもそも半工業化したシステムのため、今さら職人のレベル
が必要性な気密は変更が難しいという問題を抱えています。
いずれにせよ、気密性を高めるためには、職人と現場管理者の技術力が必要なため、
手間とコストがかかります。気密性の向上に後ろ向きなハウスメーカーが多いのは、
気密性を上げること=コストアップであることが大きな要因といえます。
BY:https://wellnesthome.jp/242/
省エネルギー基準の法律が施行された後、研究機関や研究者の報告では、次のような
実態があります。
■既存建物の実際
古い建物ほど気密性能は悪く、RC造の集合住宅でも、5.0程度の低い性能しか持って
いない建物もあります。(窓の気密性が悪い、アルミサッシは良くない)
■気密化工事の実測値
在来工法ほど、C値のばらつきが大きく、パネル化工法や外断熱工法は安定しています。
また、2x4工法もばらつきはありますが、測定結果の中心域は2.0を下回っています。
在来工法ならば、パネル化工法がお勧め、2x4工法ならば、比較的安定して性能が
確保でき、
外断熱工法は安定、しかし、材料の耐用年数は未知です。
北海道、青森県、秋田県、岩手県地方では、C値が2.0以下となる住宅を気密住宅と
規定しています。
また、それ以外の地域では、C値が5.0以下の住宅を気密住宅としています。
注:実際は都道府県単位ではなく、市町村単位で決められています。
地域によって、要求されている気密度合いが異なるため、気密化工事の方法も微妙に
異なっています。
代表的な工法は、気密シートを床、壁、天井に貼る方法ですが、細かな部分では、
サッシやコンセント部分は、切りっぱなしでも良い地域と、気密テープを張る必要の
ある地域。
あるいは、合板だけで床の気密がとれるとされている地域と、気密シートをはる必要
のある地域等々、求めるC値の値によって施工方法は異なります。
C値に実際影響の多い箇所は換気扇、従来のシャッターで閉じるタイプは密閉度は
良くありません。
ガラスで閉じる窓も同じです。換気扇は密閉式タイプであることが条件です。
レンジフードの場合も同じ条件です。
測定時は、ふさいで測定してもよいとされています。
ガスを使う場合に規定されている換気口、エヤコンの排水パイプも密閉性は、ありません。
窓の気密性は輸入物が抜群です。
アルミサッシの気密性はありません。
パネル工法は、構造用合板と発泡系断熱材が一体化したものを気密パッキン、あるいは
気密シートで施工するなど、開発メーカー固有の気密化仕様を定めています。
■性能に季節変動有り
(財)住宅・建築 省エネルギー機構の資料では、夏の方が気密度合いは高く、
冬の方が低いという
報告を載せています。その差は、10~30%程度のようです。
そのため、気密測定を行う季節によっても測定値にばらつきが発生します。
■2年程度で、性能低下後安定する
また、気密性能は、新築後1~2年後に、当初の性能の10~30%程度低下し、
その後は安定する、
という研究報告を載せています。この原因は、木材の乾燥収縮にあるようです。
■メーカーのセールス文句と気密測定
住宅メーカーによっては、単に気密住宅としか宣伝していない場合と、C値を
はっきりとうたっている場合の両方があります。
もし、あなたが、はっきりとした性能値を定めた住宅を取得したいのであれば、
必ず、取得したいC値の値と、気密測定を契約書に含めてください。
なぜなら、C値5.0以下は全て気密住宅だからです。
そして、気候による性能変動や築2年程度での性能低下とその後は安定することを
理解しておきましょう。